きままにひく引鉄

理系社会人 広く浅くの体現者

BRUTUS合本 読書特集

最近私は何を読んだらいいのかわからなくなってきてしまっていた。

漫画はそこそこ読むのだけれども。問題は活字のほうで、最近読む量がめっきりと減っていてまずいなと思っていた。

物語を読むだけでなく幅広い知恵知識を蓄えたいと思ったけれど、世の中には星の数ほどの本があり、片っ端から乱読していくほどの時間も金もない学生である私はどうしたものかと迷走しかけていた。

そんなときふと本屋で見つけたこの合本。

BRUTUS特別編集 合本・読書入門。 (マガジンハウスムック)

BRUTUS特別編集 合本・読書入門。 (マガジンハウスムック)

 

ブルータスの読書特集は前々から気になっていたのだが雑誌の購入はしていなかった。

普段はBRUTUS全く買うことがないし。

 合本は三年分の読書特集を一冊にしたもので、結構厚みがあるけれど千円以下。

せめて読み方だけでも参考にならないかと思ってめくってたら、合本前に特集されていた時に気になった読書術本をマトリックスで分類したページがそのまま載っていたので買ってしまった。買って正解だった。

著名人の本の読み方を紹介した「読書入門」のコーナーから始まり、○○したってされたって大丈夫、をコンセプトにした「この本があれば、人生だいたい大丈夫。」や全国の書店員のおすすめなど、読んだ先の人生につながっていくような本が紹介されていた。

うーん、こうして簡単な文にすると陳腐に思えてしまうのだけれど決してそんなことはないのです…

読書入門のコーナーで紹介されていた読み方の中で気になったのが、「赤線を引く」「声に出して読んでみる」など。

「赤線を引く」紹介しているのは社会学者の古市憲寿さん。一度読んだ本を二度と読み返さなくてもいいように、無駄にならないように最短で情報にアクセスできるよう赤線を引く。しかし、難しい本に関してすべて理解する必要はないという。

私は買った本に手を加えられないタイプで(雑誌以外)、付箋もできたら貼りたくないし赤線なんてもってのほかだと思っていたのだけれど、学校の勉強以外で自ら知識を得ようとするならば印を残していくのが効果的であることはわかっているつもりで、今回もその事実をまざまざと感じさせられた。決心せねば。

「声に出して読んでみる」紹介しているのは翻訳家の柴田元幸さん。読書の中に古い時代から存在している「音」の要素を体で吸収するため積極的に朗読会を開いている。

これもやってみたいと思っているがなかなかできないことで、どうしても人に聞かれたらという羞恥心に勝てない。家族にはなおさら聞かれたくない。そして声に出したくなるほどの文にそれほど出会えていない。今まで読んだ中で声に出したくなったのは太宰治の「女生徒」かなぁ。女性一人称で書かれた太宰の小説はなんだか澄んだ声で読み上げたくなる。現実はハスキー気味な低い声なので幻想だけにとどめたいけれど。

音に出して読みたくなる本って絵本とか児童文学とか、読み聞かせるための本のほうがよく練られているイメージがある。声の出しやすさのハードルが全然違うんだろうな。あまりにも長すぎる物語で音まで考えて書き上げるのは作家にとってはきついだろうし読む方も息切れしてしまうのかも。

 

ほかにも

「旅に絡めて本を読む」紹介しているのはモデル、女優のKIKIさんとノンフィクション作家、探検家の角幡唯介さん。

「疑問について答えを探る」作家 前田司郎さん

「人々の生き方を巡り思考する」コンサルタント並木祐太さん

など興味深い本を紹介してくださる方々のインタビューがたくさん。紹介者の著書も気になってくる。

 

いろんな特集があったけれど私が個人的に嬉しいと思ったのがSF特集。

日本のSFは、どこへいくのか?という題で藤井太洋さんと吉上亮さんの対談と、大森望さんのコラム、そして日本のSFを楽しむための、10のテーマとして選定されたワードに基づいた40作品の見取り図。テーマはロボット、人工知能、宇宙、時間、脳と意識など…テーマだけでなく位置関係でもライトなものか本格的なものか分類されており、見開きで紹介された作品たちにとてもわくわくした。

 

カタログを見るように気になる本があるページに付箋を貼って行ってたら、本の上がわさわさになってしまった。何から読もうか、嬉しい悩みになった。迷いは軽くなったと思う。