きままにひく引鉄

理系社会人 広く浅くの体現者

父のレコードと音楽

父は若い頃レコードを集める人だった。

ブルースが好きらしく私が聞いてもピンとこないようなアーティスト達のレコードを段ボールに2,3箱は持っていた。私が知らないだけで若い頃にはもっとあったのかもしれない。

レコードの種類も実に様々。

邦楽も洋楽もごった煮の段ボールの中で、幼いころの私はちょっと変で面白いジャケットをひたすら探したりしていた。

 

父は私が小学二年生の時から中学卒業までの実に7年間も単身赴任をしていた。そして私が高専に入学し寮に入ると同時に単身赴任を終えて実家に戻っている。月に一度かそれより少ないくらいの頻度で帰省してはいたものの、私は貴重な幼少期から成人するまでのほとんどを父と過ごすことなく生きてきた。

だからこそ、父の好みを、内面を、昔を知りたくてよく分からないレコードを掘り出していた。

口数の多くない父は私が興味を持つことを喜んでくれていたらしい。

 

父は数年前にレコード音源をmp3に変換出来るプレイヤーを買い、少しずつデータを起こしている。

私は時々そのデータをもらい聴いている。

私が今もよく聴いているのが柳ジョージだ。「青い瞳のステラ 1962年 夏…」や「レッドホット ママ」、「WEEPING IN THE RAIN」などがお気に入り。

 

 

父は晩ご飯を食べ晩酌を済ませるとイヤホンを耳にはめて静かに音楽を聴いている。

無料でラジオを聴けるアプリを教えたら喜んでいた。

最近私が借りたブルーハーツのシングルベストを聴いていると興味を示してきた。ロックも守備範囲だったようだ。

 

自分が聴く音楽の好みと一致する人はなかなかいない。紹介してもされても、のめり込むほど聴くようにはならないことが多いと思う。それでも私は父を知りたくて曲を聴き始めた。父も少し私の聴く音楽に興味を持ってくれている。

ライブとかフェスとか、派手なイベントだけが音楽を共有する方法では無いのだと最近ようやく分かったのだ。